朝起きて、リビングの机に座る。パジャマのまま、コーヒーを片手にノートパソコンを開く。
それが、私の日常になってからもう2年が経っていた。
かつて憧れていた「在宅ワーク」——時間に縛られず、自分のペースで働ける理想的な働き方。
でも、ある日ふと、気づいたのです。
「私、なんでこれを続けてるんだろう?」
はじめは夢だった、在宅での自由な働き方
私はもともと広告系の企業で働いていました。バリバリの正社員。忙しさはあるものの、仕事にも仲間にも恵まれていました。
けれど、コロナ禍をきっかけにフルリモート体制に。
そのまま会社を辞め、フリーランスに転向。在宅ワーク中心のライターとして働き始めました。
はじめのうちは、自由に働けることがとても嬉しかった。
通勤時間はゼロ、朝はギリギリまで寝られて、昼は好きなときに家ごはん。
「私、こういうのが“向いてる”かも」って思っていました。
誰にも見られていない、という感覚
でも、だんだんと変化が訪れました。
「今日、誰とも話していない」
「お昼の時間が過ぎてることに気づかない」
「日曜と月曜の違いが分からない」
最初は気楽だった孤独が、いつしか心の奥にじわじわと染み込んでいったのです。
それでも仕事は続けていました。案件も定期的にあったし、クライアントとのやりとりもチャットで十分こなせていた。
だけど、画面越しの文字だけでは、本当のつながりは感じられなかった。
「私、透明人間みたいだな」——そんな言葉がふと浮かぶ日もありました。
「ありがとう」を直接聞きたくなった
ある日、たまたま元同僚に誘われて、企業のプロジェクトにスポットで参加することになりました。
オフィスワークは久しぶりで、少し緊張もしていたけれど、久々の“誰かと一緒に働く感じ”に胸が高鳴りました。
会議のあと、チームの方から「今日の資料、分かりやすくて助かりました。ありがとう」と言われたとき——
胸の奥に、なにか温かいものがふわっと広がったんです。
「あ、私、これが欲しかったんだ」
その瞬間、自分が感じていた“孤独”の正体がわかりました。
「在宅ワーク 正社員」で検索した日
その日の夜、私はパソコンに向かっていました。
“在宅ワーク 正社員”
在宅という働き方はそのままに、チームと関われる環境がほしい。
フリーではなく、会社に所属する「仲間」がほしい。
そんな想いで、求人を探しはじめました。
IT系の企業、Web制作会社、オンラインスクールなど、多くの企業がフルリモートでもチーム体制を整えていて、「在宅でも正社員」として働ける環境が整ってきていることを知りました。
何社かに応募して、書類選考や面接を経て、ようやくひとつの会社に入社が決まりました。
今の私は、「自分を知っている」
いま私は、オンライン教育系の企業で広報職として働いています。
働き方は在宅が中心。でも、定例のチームMTG、Slackでの雑談チャンネル、メンター制度など、「人との接点」がしっかりあります。
もちろん画面越しですが、誕生日を祝ってくれたり、企画がうまくいったときに「ナイスです!」と声をかけてくれる仲間がいる。
それだけで、仕事への向き合い方が全然違う。
在宅ワークを否定するわけではありません。
でも私は、「一人で働く」ことに限界を感じたタイプだったんだと思います。
それに気づけたからこそ、次の一歩が踏み出せた。
「向いてるかどうか」は、続けてみないとわからない
もし、いま在宅ワークに憧れている人がいたら、私は背中を押したい。
でも同時に、「自分に合ってるかどうか」は実際にやってみないと分からない、ということも伝えたいです。
そして、もし途中で「違うな」と思っても、それは失敗ではなく、“次に行くための気づき”。
在宅でも、正社員でも、自分らしく働ける環境はきっとある。
「気づけた自分」から、またスタートすればいい。
いまの私は、そう思えています。
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