フリーターから正社員 雨音だけが響く夜に、自分の未来が怖くなった

フリーターから正社員 雨音だけが響く夜に、自分の未来が怖くなった

アルバイト先からの帰り道、コンビニで半額のおにぎりを2つ買って帰った。

部屋に着いたのは深夜1時前。湿ったシャツを脱ぎながら、なんとなくスマホを眺めていた。

SNSでは、同級生たちが「昇進した」「新しい部署で頑張ってます」とか、自分とは遠い世界の話をしている。

私は、22歳からずっとフリーター。いま26歳。気づけば4年が経っていた。

「このままでいいのか?」

ふとした拍子に浮かんだその言葉が、妙に重く心に沈んだ。

本当は「やりたいこと」なんてなかった

高校卒業後、進学も就職もしなかった。

なんとなくフリーターでいれば、自由だし気楽だし、自分のペースで生きられると思っていた。

カフェ、コンビニ、イベントスタッフ、倉庫仕分け…いろんなバイトをしてきたけれど、どれも「やりたいこと」ではなかった。

「本気になれるものを探したい」とか、「夢中になれる仕事を見つけたい」とか、そんな言葉が自分を正当化するための口実になっていた。

本当は、何がしたいかなんて、わからなかった。

ただ、わからないまま動けずにいたら、あっという間に数年が経っていた。

ある夜、突然その瞬間がきた

その日は、バイト先で年下の社員に叱られた。

「そんなのも分からないんですか?」

彼は22歳。私は26歳。たしかに、私が間違っていた。

でも、その瞬間、なぜか無性に悔しくて、恥ずかしくて、逃げ出したくなった。

帰宅してシャワーを浴びたあと、なぜか涙が出た。

「何してるんだろう、俺」

布団の中で天井を見つめながら、ふと検索した。

“フリーターから正社員 可能性”

いろんな記事が出てきた。転職エージェント、就職支援、未経験歓迎——そんな言葉が並んでいた。

初めて、「このままじゃマズい」と本気で思った夜だった。

一歩踏み出すことが、こんなに怖いとは

翌日、思い切って無料の就職支援サービスに登録した。

数日後、電話が鳴った。

「お話聞かせていただけますか?」

正直、不安しかなかった。履歴書に書けるような経験もスキルもない。

でも、キャリアアドバイザーの人が言ってくれた。

「フリーターだったからこそ、気づけることってあります。まずはそこから一緒に整理しましょう」

この言葉に、ほんの少しだけ肩の力が抜けた。

職歴の棚卸しをして、志望動機を一緒に考えて、模擬面接もやってもらった。

はじめて「社会人になる準備」をした気がした。

正社員になって見えたもの

今は、物流会社で働いている。

現場のサポートや事務処理が主な仕事。

はじめは覚えることも多くて、ミスして落ち込むこともあった。

でも、毎月決まった日に給料が振り込まれて、社会保険もあって、有給もある。

なにより、「ちゃんと誰かに頼られている」と感じられる瞬間がある。

もちろん、毎日楽しいわけじゃない。

けれど、「このままじゃマズい」から「このまま頑張ってみよう」に変わった。

振り返って思うこと

あの夜、雨音の中でスマホを手に取らなければ、私はまだフリーターのままだったかもしれない。

変化のきっかけって、ほんの少しの違和感から生まれるんだと思う。

「なんとなく不安」 「なんとなく焦る」

その“なんとなく”を見逃さずに動けたことが、たぶん私にとって一番の転機だった。

今、フリーターとして日々を過ごしている人がいたら、伝えたいです。

「まだ遅くない。むしろ、いまが一番いいタイミング」

自分の未来は、思っているより柔らかくて、動かせる。

あの夜が、そう教えてくれました。

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