31歳男性・IT商社営業→地方中小企業のマーケティング職へ
「営業職を辞めたい」と検索した夜、僕は泣いていた
それは、誰にも言えなかった夜だった。終電で帰宅し、スーツのまま床に倒れ込んだまま、スマホを開いた。
「営業職 辞めたい」
その5文字を検索ボックスに入れることが、これほど苦しく、そしてこれほど救いになるとは思っていなかった。
僕は31歳。IT系商社で法人営業として働いていた。
社会人9年目。部下も後輩も増え、営業成績もそこそこ順調。見た目には順風満帆だったと思う。でも、内側では、じわじわと崩れていた。
「成果主義」が怖くなった
数字が全て。
それが、うちの会社の文化だった。もちろん、営業として数字で評価されるのは当然だと理解していた。
でも、そこに人間味がどんどん失われていった。
顧客との関係も、社内の関係も、「数字で語れ」の一言で切られてしまう。
契約を取るたびに「よくやった」と褒められたけれど、本当はその裏で、強引なクロージングに罪悪感を抱いていた。
そして、ふと気づく。「あれ?自分、何のために営業してるんだっけ?」
「辞めたいけど、何がしたいかわからない」
営業を辞めたい——でも、じゃあ自分は何ができる?
Excelも中途半端、プログラミングもできない、資格もない。
悩んでいた僕は、あるセミナーに参加した。テーマは「ミッドキャリアからの転職戦略」。
そこで講師がこう言った。
「30代でモヤモヤしている人は、自分を疑い始めた証拠です。それは、キャリアを本気で考えているということなんですよ」
その言葉に、心がふっと軽くなった。
「営業の経験」を武器に変えるという発想
転職エージェントにも登録した。でも紹介されたのは、同じく営業職かマネージャー職ばかり。
もう少しで課長になれるポジションと言われても、まったく心が動かなかった。
そんな時、ある求人が目に止まった。
「地方中小企業のマーケティング担当者募集」——事業内容は古着のネット販売。
業績は右肩上がり。EC事業の立ち上げと広告戦略を一緒に考えてくれる人材を探しているという。
未経験OK。必要なのは顧客視点と営業経験。
「これだ」と思った。
転職後の世界——売ることから“伝えること”へ
今、僕はその会社でWebマーケティング担当として働いている。
商品ページの構成、SNS運用、広告の設計、顧客分析。
全てが新しい。でも、営業時代に培った「相手に届ける視点」が活きている。
売り込むのではなく、伝える。
数字を追うのではなく、ユーザーと向き合う。
営業で消耗していた頃の自分には想像もできない、静かだけど確かな達成感がそこにはある。
「営業職 辞めたい」と思ったあなたへ
僕は、あの日Googleで「営業職 辞めたい」と検索していた自分に、今ならこう言える。
「その気持ちは、キャリアの再構築の始まりだった」
辞めたいと思うのは、弱さではない。働くことに真剣だからこそ湧き上がる、健全な違和感だと思う。
あなたにも、必ず次のステージがある。
営業を辞めることが、終わりじゃない。そこから、始まることがある。
あなたのその気持ちが、次の一歩になることを願っています。
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