営業職の分岐点|28歳女性・法人営業→企画職へ
「もしかして、営業って私には向いてないのかもしれない」
そう思い始めたのは、入社して3年が経ったころ。
新卒で入ったのは、業界ではそれなりに名の知れたIT系企業。最初から営業配属で、法人向けにシステム導入の提案をする仕事だった。
はじめのうちは「社会人として成長したい」「どんな仕事でもまずは3年」と自分に言い聞かせて頑張っていた。
でも、気づけば、笑えなくなっていた。
「断られるのが怖い」「自分を売り込むのが苦しい」
営業の仕事には数字がつきもの。
月末になるとピリピリした空気。目標未達の人は朝礼で名前を呼ばれ、会議で詰められる。
お客様に「結構です」と言われるたびに、まるで自分の存在を否定されたような気持ちになっていた。
同僚は「断られて当たり前だよ」と言うけれど、私はその割り切りがどうしてもできなかった。
それでも、心にフタをして働き続けた。
「私が弱いだけ」「もっと頑張れば、慣れるかもしれない」——そう思い込もうとしていた。
自分を否定し続ける毎日が、限界だった
ある日、体調を崩して数日間休んだ。
その間、部屋でひとりぼーっとしていたら、ふとスマホで検索した。
「営業職 向いてない」
そこには、私と同じように悩んでいる人の声がたくさんあった。
「営業職が苦しいのは、自分がダメだからじゃない」
「向き不向きがあるのは当然」
その言葉に、涙が出た。
この苦しさは、甘えじゃなかった
そう思えた瞬間、肩の力が抜けた。
はじめて、自分の「得意」に目を向けてみた
営業職を否定するのではなく、じゃあ私には何が向いているのかを考えることにした。
振り返ってみると、資料を作ったり、提案内容を文章にまとめたりするのは得意だった。
社内でも「プレゼン資料わかりやすいね」と褒められたことがあった。
そこから「企画職」「広報」「マーケティング」など、営業以外で伝える仕事を探し始めた。
未経験での転職は不安だったけれど、「今より笑って働きたい」という気持ちが勝った。
転職後の現在——自分らしく働ける毎日
今は、Webサービスを展開するベンチャー企業で、企画兼ライティング担当として働いている。
お客様に会うことは少ないけれど、ユーザーの声を聞きながら、サービスの魅力をどう伝えるかを考える仕事。
営業時代の「自分を売り込む」ストレスはなくなり、「言葉で伝える」楽しさを日々実感している。
上司も、感情に寄り添ってくれるタイプ。失敗しても、「チャレンジしたことが大事」と言ってくれる。
帰り道に、ふと空を見上げる余裕もできた。
「営業が向いてない」と悩んでいるあなたへ
営業は素晴らしい仕事です。
でも、向いていないと感じるなら、それはあなたが何か別の強みを持っている証拠かもしれません。
「向いてない」と気づくことは、自分を否定することじゃない。むしろ、そこからが本当のキャリアのスタートです。
私がそうだったように、あなたにもきっと、心がちゃんと笑える仕事があるはずです。
迷っているあなたの背中を、少しでも押せたなら。
この物語が、あなたの分岐点になりますように。
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