道を変える勇気がなかった僕が、変わらざるを得なかった話

道を変える勇気がなかった僕が、変わらざるを得なかった話

いつの間にか、人生は「耐えるもの」だと思っていた。

それが仕事であれ、家庭であれ、誰もが我慢しながら生きている——そんな風に思い込んでいた38歳のある日、僕は会社のデスクで、ふと手が震えているのに気づいた。

やりたいこともなかった。でも、やりたくないことすら見失っていた

正直に言えば、僕はこれといった夢を持っていなかった。

新卒で入った商社で、営業として数字を追いかける日々。

結果が出れば褒められ、出なければ叱責される。

でも、ちゃんと評価もされたし、同僚とも仲が良かった。

それでも、「もう限界かもしれない」と思ったのは、“心”の余白が消えていく感覚だった。

夜10時過ぎ、無人のオフィスにひとり残り、明日のプレゼン資料を作りながら「このまま40代に突入したら、俺は壊れるかもしれない」と感じた。

「未経験でもエンジニアになれるらしい」という小さな希望

自宅に戻り、何気なくYouTubeを流していた時だった。

「30代未経験からITエンジニアに転職しました」という動画に、なぜか手が止まった。

元飲食店店長、元介護士、元営業。自分と同じような経歴の人たちが、スーツを脱ぎ、カジュアルな服装でノートPCに向かって働く姿。

「そんな簡単な話じゃないだろ」と思いながらも、心のどこかで惹かれていた。

次の日から、寝る前にProgateを触るようになった。

HTML?CSS?JavaScript?わからない言葉ばかりだったけど、「何かを自分で作る」という感覚が純粋に楽しかった。

時間を見つけては学習サイトを触り、Twitterでエンジニア界隈の投稿を見るようになり、気づけば「未経験 エンジニア 転職 30代」と検索していた。

妻に正直に話した夜

自分の中で火がついてきたころ、思い切って妻に「転職してみたい」と話した。

彼女は最初こそ驚いていたが、話を聞いてくれた。

「あなたが前向きな顔で話すの、久しぶりに見た気がする」

その一言で、僕は決めた。

未経験でも、30代後半でも、ここから新しい道を歩きたい。

転職活動は正直、甘くなかった

ポートフォリオを作って、スクールにも通って、何とか面接までこぎつけた。

でも、現実は厳しかった。

「経験不足」「年齢的に難しいかも」——何度もお祈りメールが届いた。

そのたびに心が折れそうになったけれど、営業時代よりも素直に努力できている自分がどこか誇らしかった。

転機が訪れたのは、あるベンチャー企業からの面接でのこと。

「あなたの誠実さと、行動力は伝わってきました。技術はこれからでも伸びる」

そう言ってもらえた瞬間、今までの苦労が報われた気がした。

無事、採用通知が届き、4月からエンジニアとしてのキャリアが始まった。

コードを書くのが楽しい、と思えた初めての夜

初日は緊張で手汗が止まらなかった。

先輩エンジニアにコードレビューされるたびに、自分の未熟さを痛感した。

でも、それでも楽しかった。

自分で考えたコードが動いた時の快感。

誰かの業務が、自分の作ったシステムでちょっとでも楽になる実感。

こんな風に働くって、知らなかった。

そして何より、家に帰る時間が早くなったことが嬉しかった。

子どもと夕飯を食べ、妻とNetflixを観ながら「明日もがんばろう」と思える日々。

それが、何よりの成果だった。

振り返って思う。変わるのに必要だったのは「完璧な準備」じゃなくて「今の違和感」だった

あのまま営業を続けていても、何とかやっていけたと思う。

でも、今の自分のほうがずっと好きだ。

たくさん迷って、怖がって、挑戦してよかった。

エンジニアという仕事は、まだまだ奥が深くて、難しい。

でも、それ以上に「続けていきたい」と思えるやりがいがある。

もし今、この記事を読んでくれているあなたが「もう遅いかも」「未経験じゃ無理かも」と思っているなら、伝えたい。

その違和感が、動き出すサインかもしれません。

迷った時は、未来の自分に胸を張れるかどうか、想像してみてください。

僕は38歳から道を変えて、ようやく「働くこと」が好きになれました。

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