保育士の分岐点|30代女性・私立保育園→児童福祉団体へ転職
【はじめに】「夢だったはずの仕事が、いつの間にか「我慢」になっていた」
私は子どもの頃から、保育士になるのが夢でした。
小さい子どもと関わるのが好きで、誰かの笑顔を支える仕事に就きたいと思っていました。
資格を取り、都内の私立保育園に就職してから、気づけば10年以上が経っていました。
でもある日、「このまま続けて大丈夫だろうか」と不安が押し寄せてきたのです。
【現実】「やりがい」はある。でも「時間」も「心」も余裕がない
朝7時半からの早番、保育終了後の雑務、壁面装飾や行事準備、保護者対応。
帰れるのはいつも20時近く。家に帰っても、明日の準備に追われる毎日。
休憩もろくに取れず、給食は立ったままかき込んで終了。
子どもは可愛い。仲間とも支え合っている。
でも、「この生活があと何年続くんだろう」と思ったとき、心が沈んだ。
給与は手取り18万円台。賞与も出るが、暮らしに余裕はない。
30代に入り、ふと気づいた——「生活」を守れない仕事は、長く続けられないのではないかと。
【検索】「保育士 ブラック」で調べてしまった夜
心身ともに疲れ果てたある夜、ベッドの中でスマホを開いた。
検索したのは、「保育士 ブラック」。
そこには、私と同じように悩んでいる人の声がたくさんあった。
好きだけでは続けられない
現場の声が届かない
保育士は尊いのに、扱いは軽い
文字を追ううちに、自分の気持ちが肯定されていくようで、涙が止まらなかった。
【決断】「子どもと関わる仕事」は辞めたくない。でもこのままじゃダメ
退職を考え始めたとき、一番怖かったのは、「保育をやめたら、もう私に何ができるのか」という不安でした。
でも調べていく中で、保育士資格を活かせる選択肢が意外と多いことを知りました。
- 放課後デイサービス
- 児童養護施設
- 福祉系NPO
- 企業内保育
その中でも私が惹かれたのは、「児童福祉団体での学童支援」でした。
放課後に小学生と関わる仕事。保護者対応もあるけれど、職場の雰囲気が柔らかく、残業も少ない。
思い切って応募し、面接で「現場での経験がとても生きる」と言ってもらえたとき、涙が出そうになった。
【現在】「もう少し、優しくなれた自分がいる」
転職して半年。子どもたちと関わる時間は変わらずあるけれど、心に余裕がある。
家庭とも両立できるようになった。休日に友人と会ったり、趣味を再開できるようになった。
保育士をやめたことに後悔はない。
むしろ、子どもを大切にしたいという気持ちを、違う形で実現できている実感がある。
【おわりに】保育士はブラック?——それでも、あなたの気持ちは間違ってない
「保育士 ブラック」——この言葉に傷つく人がたくさんいることもわかっています。
でも、ブラックな環境にいることと、あなたの志が尊くないことはまったく別です。
あなたが苦しいのは、あなたが甘えているからではない。
あなたがちゃんと、子どもと向き合っているからこそ、疲れてしまうのです。
無理をしないでください。
「保育をやめる」ことは、「子どもが嫌いになる」ことではありません。
新しい形で、子どもと関わる自分を、どうか大切にしてあげてください。
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