看護師・医療職の分岐点|20代女性・急性期病棟→クリニック勤務へ転職
「看護師になったのは、母の背中を見て育ったから」
母は看護師でした。
夜勤明けでも家族に笑顔を見せてくれて、誇らしい背中でした。
だから、私も自然とその道を選んでいたのかもしれません。
看護学校を出て、急性期の総合病院に配属。
命と向き合う現場。人のために働く毎日。誰かに必要とされることに、初めは誇りを持っていました。
でも、1年、2年と経つうちに、心の中に小さな違和感が生まれ始めました。
「向いてないのかな」——そう思ってしまう自分を責めた
夜勤明け、ぼーっとした頭で帰る道。
患者さんの容態急変、医師とのすれ違い、ナースコールの嵐……。
同僚の中にはバリバリこなしている人もいるのに、自分だけが劣っている気がして。
「なんで私は、うまくできないんだろう」
誰かを助けたい気持ちはあるのに、心がどんどんすり減っていく。
「看護師 向いてない」
そうスマホで検索した夜、ベッドの上で泣きました。
辞めたい。でも、「看護師じゃない自分」も想像できなかった
何度も辞表を書いては、引き出しにしまいました。
辞めた後、私は何ができる?
大学にも行ってないし、看護師以外の仕事なんて知らない。
でも、毎日不安と無力感に包まれたまま働くのは、違う気がしました。
そんなとき、同期が言ったんです。
「辞めるだけが選択じゃない。場所を変えてもいいと思うよ」
その一言に、初めて転職という選択肢が現実になりました。
私が選んだ、“患者さんと穏やかに向き合える職場”
調べていく中で見つけたのが、地域密着の内科クリニック。
・完全日勤制 ・残業ほぼなし ・患者さんの8割は定期通院の高齢者
命の最前線とは違うけれど、「丁寧に話を聞いてくれる」と口コミ評価が高い。
見学に行ったとき、スタッフ同士が穏やかに話している姿に驚きました。
面接で院長先生が言ってくれたんです。
「ここは戦う医療じゃなくて、寄り添う医療です」
その言葉が、胸にしみました。
「辞める」ではなく、「変える」だった——そして今
転職してから、朝が怖くなくなりました。
ゆっくりした時間の中で、患者さんと会話ができる。
看護記録も、自分のペースで丁寧に残せる。
「ありがとう、また来るね」と言ってもらえるたび、心が少しずつ回復していきました。
今でも、急性期で頑張っている同期たちを尊敬しています。
でも、私にはこの働き方が合っていました。
「看護師 向いてない」——その悩みは、甘えじゃない
もし今、あなたがそう感じているなら、それは逃げではなく“気づき”です。
自分の心が「助けて」と言っているサインかもしれません。
看護師であり続ける方法は、ひとつじゃない。
働く場所、関わる患者さん、求められる役割。
少し変えるだけで、「また看護師として働きたい」と思える日が来るかもしれません。
私がそうだったように。
そして、あなたにもきっと、そんな未来が待っていると信じています。
コメント