「もう限界・・・」
私は32歳、介護職として特別養護老人ホームに勤務していました。早番・遅番・夜勤と不規則なシフト。常に人手不足で、トイレ誘導も食事介助もすべて時間に追われる。
仕事のやりがいは感じていたつもりです。でも、ふと気づいたんです。「私、笑ってない」。
高齢者の笑顔を支えるはずの自分が、無表情で、心が乾いている。
「辞めたい」と口に出せない日々
介護の現場では、辞めたいと思っても簡単に言い出せない雰囲気があるんです。
「人手が足りないからもう少し頑張って」
「あなたが辞めたら他の人が困る」
そう言われ続けて、気づけば5年が経っていました。職場ではシフトの穴埋めばかり。プライベートな時間はどんどん削られて、疲れているはずなのに、ちゃんと眠れない。
小さなきっかけから、転職を考え始めた
ある日、同僚が倒れました。持病を抱えながら無理して働いていた彼女は、ある朝ナースコールに向かう途中で意識を失ったのです。
それを目の当たりにした時、「このままじゃ私も、壊れる」と思いました。
その日の夜、転職サイトを開きました。「介護職 辞めたい」——それが私の検索ワードでした。
新しい道:福祉系ベンチャー企業へ
すぐに退職はせず、数ヶ月間情報を集めました。やがて出会ったのが、高齢者向け配食サービスを展開する福祉ベンチャー企業。
現場経験者を歓迎していて、利用者さんと接する仕事ではありつつも、より企画やサービスづくりに関われるポジションがありました。
面接では「あなたが現場で感じてきたリアルを届けてほしい」と言われて、涙が出そうになったのを覚えています。
転職後の今:笑顔が戻ってきた
転職して半年。勤務は平日のみ、9:00〜18:00。シフトに怯えなくていい生活になりました。
企画会議で意見を出したり、利用者の声をもとにメニューを改善したり。違う形で“支える”仕事に向き合う今、久しぶりに自分が人として立てている気がします。
そして何より、「辞めたい」と思っていた過去の自分に、「よく勇気出したね」と言ってやりたい。
最後に
介護職は尊い仕事です。でも、あなたの心と体を犠牲にしてまで続けるべきではない。
「辞めたい」と感じたその心に、耳を傾けてください。私のように、新しい形で介護と向き合う道も、必ずあるはずです。
あなたの分岐点を、あなたが選べますように。
コメント